63.義務的な奉仕活動に疑問

  「教育改革国民会議」の報告では、「奉仕活動」というのが提案された。
しかし、何が目的で、また、本当にその目的にふさわしい実現方法なのかどうか理解しかねる。
いったいこれは、教育か無償で奉仕をさせることかどちらが目的なのだろうか。

教育改革国民会議の報告では、
(1)小・中学校では2週間、高校では1か月間、共同生活などによる奉仕活動を行う、
(2)将来的には、満18歳後の青年が一定期間、環境の保全や農作業、
高齢者介護など様々な分野において奉仕活動を行うことを検討するとしている。
最終案には盛り込まれなかったが、
18歳の奉仕活動は一年間の義務であることが意図されている。

  これがもし奉仕であるとすれば、何も団体生活を送る必要もないし、
それほど長い時間も必要ない。
近所の人と地区の大掃除をするのと同じであり、その範囲なら、
学校ごとに子どもたちに少々の社会的お手伝いをさせてもおかしくないだろう。

  しかし、半月から一年間などというと、これは、教育だと考えないと正当化できない。
もしそうなら、奉仕としての側面は不可欠とはいえない。
今の子どもたちは、清貧生活の経験を持たないし、
農耕をしたり土木工事の手伝いをする技術もない。
しかし、神戸の地震でも分かるとおり、いざ災害でも起きたら、
耐乏生活と肉体労働を少々しないと死んでしまう。
都会の子供が農山漁村で何泊か生活するのもよいことであろう。

  もし、規則正しい生活と規律正しい仕事を学ぼうというのなら、
むしろ、企業での実習がよい。
日本では余りやらないが、欧米では企業での実習はとても大事で、成績もつく。
成績をつけるのは、企業だが、学校の研修責任者がヒアリングなどして、手助けをする。
こういう制度のもとでは、不真面目な態度はとれない。

  こうしたボランティア活動や実習などは、いろんなバラエティがあってよい。
国際交流、自然体験、農業体験、社会奉仕体験、職業体験などいろいろあるし、
希望者は青年協力隊のようなかたちで海外へ行ってもよいし、
希望者は自衛隊や海上保安庁などへ行ってもかまわないだろう。
そういうものを教育の中に取り込んでいこうということなら賛成なのだが。

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