106.支離滅裂な小泉首相の所信表明演説

  小泉首相の所信表明演説には期待もしていなかったが、
心地よい言葉でつづった支離滅裂な作文でしかない。

  それを象徴しているのが、「長岡藩米百俵精神」への言及である。
戊辰戦争のあと長岡藩に政府から届けられた百俵の救援米を
当座の飢えをしのぐためでなく学校設立に使ったことを持って
当座の痛みを我慢する構造改革への決意を示したというのであるが、
長岡藩のやったことは、福祉だとか減税とかをするかわりに
学校を建設し教師を集めるなど公共事業と公務員の増強を行ったのだから、
良いか悪いかは別にして小泉内閣の方向とは正反対である。

  それを「改革のためには我慢する」ということだけ同じだからといって
演説の中心に据えたのだから演説の起草者も演説した本人もどうかしている。
大衆受けする言葉の羅列でしかないことを象徴している。

  内容的には大風呂敷を広げた首相公選制などについて
「懇談会を立ち上げる」としたことにみられるように、自分の考えはなかったのかといいたい。
中曽根元首相なら、まず、中曽根私案をもってから世に問うはずで、
憲法問題などよく考えもせずに思いつきでの提案であったことが如実に現れている。

  国債発行の30兆円という数字が「目標」に過ぎないことを早々に認めたことは賢明だが、
いまのところ、小泉内閣のもとで景気がよくなるのは、
「小泉人気」による幻想と参議院選挙での与党の敗北に伴う「混乱」が
回避されそうという経済政策と関係ない見通しに期待するしかない。

  政策的には、大都市住民、大企業の利益を徹底的に擁護するつもりらしい。
「都市再生」とは、大都市の、それも都心部の高密度の利用を進めることである。
そうすれば、郊外の地価は暴落する。
つまり、小住宅を保有するサラリーマンや農家、
多くの中小企業の保有資産の下落は放置、あるいは促進し、
そのかわりに都心に土地や不動産を持つ金融機関など
大企業などの含み資産を値上がりさせることによって、
金融システムの再建を図るということであり容認できない。

  もちろん、都心の再生は必要なのだが、そのための政策展開は、
何のためにするのか、誰が得をして誰が損をするかをよく考え、
社会的に広く支持されるようにバランス感覚をもって進めるべきものである。

  外交については、特色は「入国管理の強化」くらいしかない。
何にも考えてないということだろう。

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