146.運転中に聴くクラシック音楽

  車の運転中に音楽を聴いていると、機械の音が結構うるさいし、
まして、窓を開けたりすれば、小さな音は聞き取りづらい。
とくに、クラシックはダイナミックレンジが大きいから、
小さい音はほとんど聞こえなくなる。
ラベルの「ボレロ」など、最初のあたりは何も聞こえず、
うっかりボリュームを上げれば、最後の方は、車が震えるほどになってしまう。

  そうなると、自衛策は、ダイナミックレンジの狭い曲を選ぶことと、
比較的に録音が古いCDからとることだ。

  そんなニーズに応えてくれてこの週末に快適だったのは、
戦前から1950年代にかけて活躍したギーゼキングが弾いた
モーツァルトのピアノ協奏曲23番と24番。
伴奏はカラヤン指揮のフィルハーモニア管弦楽団。
ギーゼキングのタッチは、当時としては驚異的な精妙さ。
それにカラヤンの若いころのモーツァルトはすごくいい。
カラヤンが死んだときに、フランスの音楽雑誌が評論家にアンケートをしたところ、
最高の録音はモーツァルトのオペラ「コジファンテッテ」であるという結果が出ていた。
日本では全く評価されていないCDなのだが、
このころのカラヤンの若々しいが丁寧で細部まで考え抜かれたモーツアルトは
私も大好きである。

  また、この23番の録音は、人気ピアニストのブーニンが、
ピアノの素晴らしさに目覚めたレコードとして上げていたこともある。

  ともかく、モーツァルトあたりだと、ダイナミックレンジが狭くてよいし、
しかも、録音したのは英国のEMIだが、
このころ、この会社は蓄音機の性能に合わせて、
わざとダイナミックレンジを狭くしていた。
それが、まことに車の中では好都合なのだ。

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