168.水不足と水道局の懐具合

  西日本を中心に水不足が心配されている。
私も、1980年代のはじめに、通産省の工業用水課長補佐というのをやっていたのが、
水不足など起こさせないためには、いろいろな打てる手があるのに打っていないと思った。

  たとえば、早手回しの節水対策をなぜしないかというと、
水道局の会計の都合からいうと、節水は収入源になるから困るのだそうだ。
いわば在庫を売れるだけ売って
品切れ(渇水)になれば、店じまいというのは
水道局にとってそれほど不都合でないというのである。
追加入荷(恵みの雨)があればあればでよいといったくらいのものである。
品切れを心配してお客さんに節約を呼びかけるような
馬鹿なまねは絶対にしないのである。

  私は、紙コップ、濡ティッシュなどの無料配布、
公営の施設や風呂屋のシャワーの無料開放
(シャワーは風呂に比べて水の使用量は非常に少ない)、
ミネラルウォーターの安価な流通促進など
いくらでも緊急対策としてやることはあると思う。
あるいは、料金も在庫(渇水)状況に応じてこまめに変動させてもよい。

  海水淡水化をある程度は導入すると、天候の影響を受けにくいのだが、
これには、ダム屋さんや建設業界が反対である。
このごろは、少し風向きが変わってきたが、海水淡水化への敵意は相当なものだった。
長野県の田中知事のダム中止宣言には全面的に賛成するわけではないが、
ダム万能主義は相当にこの国を悪くしている。

  あるいは、最近、トルコが中東諸国へ水を詰めた巨大な袋を
船で曳航するという方法で大量の水を輸出しているというが、
国内でも屋久島を始めとする水に余裕のある地域から
渇水地域へ水を輸送することを考えるとよい。

  また、ミネラルウォーターが普及した今では、
飲み水の不足は致命的な問題にほとんどならないから、
断水時の家庭での最大の問題はトイレである。
節水型のトイレの普及や公衆トイレの充実というのも、実は、最強の渇水対策なのである。

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