354.公務員制度の改革と日本版ENAの可能性
 公務員制度改革問題についてある有力政治家から意見を求められたので次のような意見を出しましたので再録します。

 

日本の公務員制度の改革にあたって必要な三原則

1。事務次官制度の廃止

 日本のような強力な事務次官制度は海外ではほとんどなく、事務次官会議などを批判するより次官制度そのものを廃止すべきです。フランスでは次官はいない。中国や米国では事務次官補なども含めて次官クラスが多数おり、次官の権限は小さい。

2。大臣補佐官制度の導入

 フランスでは官房長(いわば首席補佐官)と10名程度の補佐官からなる大臣直属スタッフが「大臣官房(日本のそれとは違い補佐官室というべきですが)」を組織して、官僚との折衝やほかの大臣の補佐官との調整に当たっています。補佐官には自省庁・他省庁の官僚も含まれますが、あくまでも大臣が個人的に人選します。

3。日本版ENAの導入

 シラク大統領などの母校であるENA(国立行政学院)の入学試験が公務員試験にあたり、学生は三年の初任者研修をここで受けてから各省庁に配属されます。完全な各省庁一括人事には問題もありますが、ENAのような仕組みなら導入が現実的です。

各省庁一括採用と日本版ENAの設立 

   日本のシステム           フランスのシステム

  国家公務員第一種試験          ENA入学試験 

      ↓                  ↓

    各省庁の採用          ENAでの2年半の研修

      ↓                  ↓

  各省庁におけるOJT*      在学中の成績による各省庁採用

      ↓                  ↓

    例外的な転籍           比較的に容易な転籍

*オンザジョブトレーニング

ENA入試の区分について

 @新卒学生 A一定期間の公務員経験者 B民間経験者(この枠は廃止と再開を繰り返し)Cこのほかに40歳以上の特別昇進者の再訓練も担当

技官についてはカルロス・ゴーンの母校である理工科学校(ポリテクニーク)が存在

日本における導入可能性

・しばしば、現在、各省庁別に行われている公務員の採用を一括採用にして、さらに人事も一元的に運用しろという意見が聞かれる。だが、主要国の官僚機構で、実質的にそんなことをやっているところなどない。巨大組織としての弊害が出るし、各省庁どころか霞ヶ関全体の規模で総務的部門に人材が偏在して後ろ向きの行政姿勢が強まるだろう。

・しかし、現在の霞ヶ関では短期間の出向を別にすれば人材の交流は難しいし、キャリアを特別扱いにできないという名目で、各省横断的な同期の名簿すら存在していないのだから、他省庁の同期にどんな人がいるのか知るすべもない。

・そこで、公務員試験のあとENA(フランス国立行政学院)のように、2〜3年は合同研修(各省庁、地方自治体、企業、海外での実務研修を含む)をさせ、そののちに各省庁に配属するシステムの採用を考えるべき。

・このことにより、各省庁の官僚は共通の基礎的経験をもてるし他省庁の友人も多くなるから、意志疎通も良くなるし人事交流もやりやすくなる。

・人数も現在のT種試験合格者(事務系)の半数程度以下としなくてはならない。これは、技官、U種・V種採用者、中途採用、民間人などの幹部登用の可能性を拡大するという意味もあるが、現在の人数では幹部候補生として十分な経験を積ませるだけのポストが足りない。たとえば、すべての幹部候補生に地方や海外の経験をもたせたほうがよいと思うのだが現状ではそれも無理である。

・現在の採用制度を残して、ただ、採用後、ENAのような研修を二年以上行わせるのも一考

・採用方式が現在のままであるか、あるいはフランス式を導入するかを別にして、ENA方式の研修をたとえば一種試験合格者の半数について認めるのも一考。あるいは、ENA卒業者の半数程度のみを中央官庁公務員とすることも可能(残りについても地方公務員や公益法人職員などとして就職は容易)

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