ある雑誌に鱧の産地論議が載っていた。「落としやったら国産でもええし」、「ということは韓国産のほうがいいということ?」、「韓国産のほうが脂ののりがいいんで焼物何かにはやっぱり」といった錦市場でのやりとりが乗っていた。最近の京都の料理屋さんでは鱧は韓国産が最高というのが定評らしい。
これに限らず、日本料理の素材でも外国産のほうがよいというものは多い。たこ焼きのタコは明石のものよりモーリタニア産がいいらしい。明石のタコはさめると堅くなるがアフリカものは軟らかいままなのだそうだ。松茸も国内では丹波産など最高だが、私の知る限り最高の香りを楽しめたのはヨーロッパで入手したアルジェリアのアトラス山脈のものだった。寿司などに使う魚でもスズキ、ヒラメ、サバなどパリやロンドンのほうが日本よりいい。焼き鳥のカシワや鴨ロースにしてもヨーロッパでの方がよほどよい肉を使える。
最近はチリ産の鮭とかオーストラリアのカキとか季節が反対であることを利用して秋の味覚を春に旬のもので味わうことも可能になってきた。
もちろん、鯛、海老、穴子、フグ、鮎などのように国内やその近辺でしかよいものを見つけられないものも多いが、日本全国はもとより世界中からそれぞれの季節によい食材を集め利用できることが大事なのだ。