3.首相公選制について

「首相公選」をめぐる議論が盛んになってきた。民主党の代表に再選された
鳩山由紀夫氏が、自分の任期である二年間の間に首相公選制をひとつの
軸にした憲法改正案をまとめたいと語っている。  

しかし、ここでは、一般論はともかくとして、首相公選制の問題について考えてみたい。
「首相公選」と気安くいうが、具体化するとなると、いろんな問題があるし、
どんなしくみでやるるかも難しいところである。

直接選挙が円滑に行われるためには、二大政党制ないしそれに近いものが成立 し、
しかも、その政党の内部での予備選挙などの仕組みがうまくできることが条件であろう。
ところが、国会議員の選挙についても、地方の首長の選挙ですら、そのところが、
円熟していない。  

そのために、大規模な自治体の選挙ほど、芸能人など極端な選択が行われるし、
相乗り、しかも、非常識な多選も多い。私は、将来の問題としては、首相公選制に
反対ではないが、現状ではいささか躊躇するし、もし、それを行うとすれば、
政府と内閣の関係も含めて、憲法の全面改正が不可欠であろう。  

たとえば、米国の大統領のように内閣総理大臣は議会を解散できないが不信任も
されないようにするか、フランスの大統領のように別途議会の不信任の対象になる
首相を置くかという選択になる。  

前者の場合にはとんでもない独裁者になりかねないので、米国の場合には大統領が
法案提出権をもてず、議会が主導権を取るので、かえって、大改革が難しい。
銃の規制がいまだにできないなど弊害の顕著なものである。  

後者の場合には、もはや「首相」という名前になじまない。そもそも首相公選制と
天皇制は両立しないというのは小沢一郎氏の説だが、そこまでいわなくとも、
調整が難しいところである。  

むしろ、私は、ひとつの中間的な案として、総選挙の際に候補者が首班指名では
誰に投票するかを明示するというやり方を提案する。イタリアをまねたいわゆる
「オリーブの木」方式はそんな考え方だったが、それに憲法上の根拠を与えるのである。  

私は、いまの憲法には手を触れずに、追加的に「憲法宣言」を採択して、
「押し付け憲法問題」に終止符を打ち、第九条などにはその趣旨を損なうことなく
実態に合わせた解釈を確認すると共に、新しい時代にふさわしい制度に憲法上の
根拠を与えてはどうかということを提案したことがあるが、その一環として、
この制度も考えればよい。  

たとえば、「総選挙に際して候補者は首班指名に際して誰に第一回目に投票するかを
表明し、それを尊重しなければならない。首班指名選挙においては、第一回の投票で
過半数を取る者がいなければ、第二回は上位二名によって行われる」とすればよ い。
健康上の理由などで辞職する場合に備えて副首相制度も用意しておいてもよい。
「内閣総理大臣が死亡もしくは職務続行が不可能になったとき、あるいは自ら
辞任したときに後継となるべきものについても同様の方法によりあらかじめ定める」
とで もすればよい。  

一方、「衆議院が内閣不信任案を可決したときは、新たに首班指名を行うが、
こ の場合、内閣総理大臣は三か月以内に衆議院を解散しなくてはならない」として、
国民の選択によらない首相はあくまでも臨時首班であるという性格付けをしてはどう か。

こうしたやり方で、首相公選に近い民意の反映が可能であり、直接投票による場合の
ような首相と議会の対立も避けられるし、総選挙の時には予想もしなかった細川首相が
誕生し、そのあと、新たな選挙もしないのに、羽田、村山、橋本とまったく考え方の違う
内閣が次々と誕生するといった事態もなくなるだろう。

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