39.安保理常任理事国になるための運動に疑問

  国連安全保障理事会常任理事国になりたいというので、 またぞろ、
外務省は運動をはじめるつもりらしい。 私は、望まれればということで十分だと思う。
常任理事国になるのに反対ではないが、押しかけていくことでもあるまい。
むしろ、常任理事国でもないのに国連予算の四分の一を出すなどという愚行を
やめるべきだ。この問題については、去年の秋に、神奈川県にある松下政経塾で
行われたシンポジウムで討論会をしたことがあるが、以下に私の発言部分を紹介する。

否定側による反論・反駁  (5分間)八幡

  私ども否定側の立場というのは、常任理事国に世界各国からどうしてもなってくれと
いわれてもなおこれを絶対に否定する意味ではもちろんないわけです。
また現在の段階では否定的であるという意味でありまして、将来環境が整った段階で
常任理事国入りを否定しているわけではもちろんありません。

  まず、日本の常任理事国入り、安保理の根本的な解決については
現実性がないのではないか。
先ほどのイタリア案によって棚上げされた経緯などを考えましても、
まずこれが通るということが考えられないわけであります。
その一方、日本は常任理事国入りを実現するためにODAについても
他の点についても外交を歪めているのではないかという風な気がします。
つまり常任理事国に賛成するところ、またはそれを目的としてのばらまきODA、
例えばアフリカとか中南米とかあまり現実的に日本の国益と関係のないようなところにも
この問題があるが故にODAをばらまいておる。
こういう事はもうやめた方がいいのではないかということであります。

  第2に地域バランスをおっしゃっていますが、残念ながら
近隣アジア諸国の支持を受けていない中で地域バランスを言っても仕方がない。
中国も反対は角が立つというくらいで、北朝鮮は反対、韓国はあまり気が進まないという中で
地域バランスを言ってもこれは仕方がない問題だと思います。
また、日本が常任理事国入りをドイツとともにするということになりますと、
やはり先進国と発展途上国のバランスがありますが、
例えばインド或いはインドネシアに対する国際的評価というものが安定をしていることなら、
そのような国と日本やドイツという現実性があるわけですが、
残念ながらインドの核実験の問題、インドネシア経済破綻という中で、
こうした国が一緒に常任理事国入りをすることは難しい。
そうなると地域バランスということになると現在よりもよくなるということが
なかなかなっていかないのではないかと考えられるわけであります。
むしろ先進国の比重が大きくなることについての反発が強くなることが
考えられるわけであります。

  続きまして国内につきましても非常に不安定である。
反対はしないに致しましてもこれまでの国連総会での国連大使、総理、
外務大臣による態度表明においても国内的調整が難航し、
場合によっては外務省が独走するという風な形で進められておりました。
そういう風な中で本当に常任理事国入りを実現しようと思うと、場合によっては
常任理事国入りをさせてもらえないようであったら国連分担金の支払いについて見直すと
いうことまで主張していかないと実現しないと思うわけであります。
そのような思い切った戦略が取れるような国内状況にはないという風なことが
いえるかと思います。

  そういう風な中で及び腰で、しかも先ほどから申しております様に
どうせまとまる見通しも何もない、またアジア諸国の支持を得られなければ、
そして一緒に常任理事国入りを考えられるインドなどのパートナーなども
かえって足を引っ張るだけ、とこういう風な状況で、あまり真剣に取り組むべき問題とは
到底思えませんし、そういう取り組みをすることによって、
マイナスがあまりにも大きいのではないかとそのように考えております。

否定側による最終弁論  (5分間)八幡

  日本がなかなか国際的に晴れやかな舞台になかなか出てこれなかったという風なことで
いろいろな国際会議に招かれれば喜んでいくということになっておるわけであります。

  しかし、世界的に見てこのような外交手法というのは非常に幼稚なものと
いわざるを得ないわけであります。
例えば先般のサミットに際して中国に対して沖縄にお越しになったらどうですかと
わざわざ御用聞きに行ったわけです。
中国政府からは冷たくあしらわられたわけです。
中国政府はそのようなところに出ていっても他の加盟国とのいろいろな性格の違いその他を
考えればけしって有効ではない、あまり安売りをする必要がない、
むしろそのようなサミットという枠組みの外からしっかりと存在感を示す方が
得だという判断をしたのだと思います。
むしろ日本の安全保障理事会の問題についても
同じ事がいえるのではないかと考えております。
そしてまた日本がもし安全保障理事会の常任理事国になるということになりますと
それなりの覚悟というものが必要になります。
日本がソマリアなどでの行動について延々議論した挙げ句
棄権や反対をするということになりますと、国連の行動がむしろ制約されてしまうという恐れも
非常に大きんじゃないかと思います。
世論調査の結果につきましてもかなり多くの国が日本は常任理事国になった場合には
PKF等もちゃんとやってほしいということを当然の前提として考えておると、
それを踏まえた上での賛成なのかどうかそのあたりが不明なのであります。
国連中心主義というのはある意味においていうと願望の世界であります。
また、国連改革と日本の安保理常任理事国入りはどちらが卵か鶏か微妙なところで、
一概にまず安保理常任理事国入りが先であるといえるかどうか
大変疑問なんではないかという風に考えております。
それではいつになったら日本が常任理事国になるということが適当なんでしょうか。
いろんな条件があると思います。
先ほど小沢さんが言った憲法の問題、PKFの問題など
いろんな国内法的改正が整ったときというのも一つのメルクマールになると思います。
そしてまた、EUが将来英仏に加えてドイツが参加して3カ国になるのか、
或いはイタリアが主張しているようにヨーロッパとして一つの代表権を取るのか
このあたりもまた一つの問題になります。
ドイツがいろんな国際的平和維持活動に加わるようになったのが東西ドイツ統一後
また冷戦の終結後ということになったわけでありますが、
日本の場合台湾環境の問題、南北朝鮮の統一問題があります。
この二つの分裂国家が横にあって、その分裂について日本がそれなりに責任があると
いうことが継続する中で慌てるのが果たして賢明かどうかということもあると思います。
もちろんそれからインドが本当に大国としてふさわしい行動をとってくれるようになるかと
いうことも一つのメルクマールだと思いますし、また、こういう風な問題が解決していく時期と
いうのがいつぐらいであるかというのを考えますと
私は20年くらいというのを一つのメルクマールにしてもよいのではないかと思っています。
この20年というのはだいたい戦争を経験した世代というのが
ほぼ現役からは各国において退く時期であります。
その頃になりますと戦争の問題その他も含めて日本が新しい役割を戦争の痛手というものを
あまり感じずに自由な行動が出来るようになってくる。
このあたりが一つのメルクマールになってくるのではないかという風に考えております。

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