167.「選択」論文の要旨

  先に紹介した、「選択」については、たいへん広範な反響をいただいている。
詳しくは記事をご覧戴きたいが、要旨のみを以下に紹介する。

「小泉改革に逆提案  地方に夢を与える  新国土デザインを」

  バラマキといわれがちな地方対策への批判が、東京一極集中容認に結びつき、
地方での失業者は、地元での資産価値の急落で財産を失い、
意に反した単身赴任などで家族離散が続出し、
東京で低水準の賃金とスラム的住環境に押し込まれかねない。

  いま、平成の市町村大合併が現実化しているが、
小選挙区を地方では二分割することを目途とすると全国で四〇〇くらいになるので、
そのあたりが妥当だろう。

  現在の集落や市町村ごとには変動はやむをえないとしても、
新しい四〇〇市単位なら極端な人口減などないことを新たな目標とできるはずだ。
国は合併を条件にこの四〇〇の基礎自治体が生存の道を探れる道路などの
インフラを整備するなど枠組みを保証し、そのうえではじめて、地方の自立を促すべきだ。
合併が大都市のために地方への支出を減らすためだけのものであってはならない。

  とくに、道路整備特定財源については目的外に使うより、
地方の高速道路や本四架橋などを無料化ないし大幅値下げするのこそ筋だ。
十分な代替道路もない高速道路や橋、トンネルを有料とすることがおかしい。

  逆に、地方も田中角栄に始まり竹下登が進めた一九七〇年代からの地域開発が、
「地域間」の均衡より「地域内」の格差是正を偏重して
当座の利便に傾いてきたことから方向転換すべきである。
毛細血管のような道路や市町村や集落ごとのハコモノ優先で整備してきた結果、
島根県などでは掛合町の町内や松江との交通は便利になったが、
島根県全体の底上げは遅れ、高速道路は松江にも届かず
山陰本線は一部単線のままである。
従来型の公共事業は票に直結するし、工事も地元業者に落ちやすいが、
県経済の自立には疑問だった。

  これまで、公共事業の効率性を後押しするソフト戦略が不在だったことを反省すべきだ。
地方分権のほか、政府機関の配置や国主催のイベントの開催、
政府発注も徹底的に地方分散すれば東京にひどく偏っている公的雇用を地方に分配できる。

  農林業や自然回復のためには、NPOの活用のほか
外国人労働者の大胆な導入を提案する。
棚田の維持、無農薬有機農業、間伐材の伐採などで、
経済合理性とも両立しつつ自然保護も進み、食糧自給率も上がり、
付随した形での日本人の雇用も相当な数を創出できる。

  関西など西日本経済の落ち込みが激しいが、
「西日本プロブレム」というとらえ方をしない限り活路はない。
小泉改革は大都市重視というが
いまのままでは東京以外には蒲焼きの臭いくらいの意味しかない。

  また、長期的な課題だが、都道府県の連合体としての道州を創設することと、
小さな政府にふさわしい首都を各地方から中立的な小さな都市におくべきである。

  地方が二一世紀に夢と希望を持って生きていくためには
創意工夫を凝らしながら魅力的な生活の質と
生産性を実現できる地方都市づくりが不可欠である。
その前提として、村落ごとの利益を追い、
工事そのものが自己目的化してきた古い地方の政治を卒業しなければならないが、
地方の挑戦を支える新しい国家的な枠組みが必要である。

  こうした考え方を「新地方主義」と呼び、与野党を問わず
地方の将来を憂うすべての政治家や自治体がそこへ結集して、
小泉改革に今のところ欠けている地方救済の基本哲学とすることを提案する。

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